2012年8月5日日曜日

オーストラリアの首都はどこでしょう?

なんと半月もご無沙汰してしまいました。7月最後の1週間はメルボルンにあるオーストラリア家族研究所AIFS主催の研究大会に参加した後、5年前を含めてオーストラリア滞在計1年半にして、ようやく首都を訪問。

帰ってきてからは、調査準備の手続きに追われたうえに、MacのOS入れ替えのトラブルで、写真を取り込んだパソコンが立ち上がらなくなったりして、ブログの更新ができませんでした。

今日、ようやく新たなOS Mountain Lionの環境で写真も見られるようになり、更新にこぎ着けたというわけです。

さて、話を戻して、オーストラリアの首都はどこでしょう?

それはもちろんオリンピックの開かれたシドニー、

ではなく

キャンベラCanberraです。 (mではなくnなのが間違えやすい)

オーストラリアの人も、メルボルンやシドニーは仕事や遊びで頻繁に行っても、首都キャンベラにはそれほど頻繁に行くことはなさそう。アデレードから飛行機の便も、あまり多くないです。何しろシドニー都市圏の人口が450万人以上なのに対して、キャンベラは37万弱。日本の中規模の市くらいの人口ですね。


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行く前の周囲の意見も、「とてもきれいな街。行くべき」という人と、「何もないよ、何しに行くの?」という人と(笑)。

国の政策を含めたオーストラリアの研究をしているからには、やはり一度はこの目で首都を見てみたいということと、3月に参加したAustralian Bike Friday Clubの集まりで知り合ったキャンベラ在住の夫婦が誘ってくれたのもあって、これが最後のチャンス、と足を伸ばしました。

キャンベラは州には属さず、シドニーのあるニューサウス・ウェールズ州に囲まれたAustralian Capital Territory (ACT)という別の行政区の中にあります。それぞれ独立した植民地(後の州)が連邦を作ることになった際に、どこにも属さない場所として首都を建設したという経緯があります。オーストラリア建国が1901年ですが、首都の場所が決まったのが1908年。その後1912年に都市計画の国際コンペでアメリカ、シカゴの建築家Walter Burley Griffinのデザインが選ばれて都市の建設が始まりました。自然の地形を活かした考え抜かれたデザイン。一見の価値があります。

これだけの大国の首都にして、自然の中の街という感じ。写真を見ても分かりますが、山が近い。滋賀県や三重県の山間部に首都を作ったような雰囲気です。

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そして、今回訪れた施設で個人的に一番印象に残ったのが連邦議会議事堂Parliament House。上の写真、キャンベラの紹介でよく出てくる真正面の構図です。1927年から使われていた旧議事堂に変わって、1988年にオープンしたこの建物、一つ一つの空間・意匠に、オーストラリアの人々、自然に関連する意味が込められています。

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なかでも、案内してくれた友人に説明してもらって感銘を受けたのが、ルーフガーデンに込められた意味。9.11以降のセキュリティの強化で変わってしまったのですが、もともとは麓から芝生のスロープで屋根の上に歩いて行けたそうです(上写真の右端の芝生)。今は中間点に柵が設けられて歩いて直接あがることはできなくなったのですが、建物の中からエレベーターで誰でも上がれます。見学もセキュリティチェックはあるものの、名前を書いたりする必要もありません。

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議事堂の上にあるルーフガーデン(上の写真が頂点部分)に誰でも登れる。これは、議会よりも人々の方が重要であるという考えに基づくものだそうです。

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ルーフガーデンから街を一望。湖の向こう側には住宅地を挟んでMt. Ainslie。麓の戦争記念館(War Memorial)まで一直線に緑地帯などの空間が伸びています。

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全体に、物々しさとは対極にある、スカイライトをふんだんに採り入れた明るく開放的な建築。二院制の各議会の議事堂それぞれが、イギリスの議会と同じ緑と赤の色を採用しつつ、それより明るい色にして、緑の方(日本でいえば衆議院に当たるHouse of Representative下院)はユーカリの葉をイメージしているそうです。シートの色が観覧席の上に行くに従って薄くなっていきます。

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一階正面にあるこのホール、入って奥の絵に目が釘付けになりました。実はこれ、オーストラリアの画家Arthur Boydの絵を元にしたタペストリーなのです。近くに行ってよく見てようやく織物だということがわかります。このホール、市民が普通に借りることができるそうです。

キャンベラでのもう一つの感動、大人のホームステイ体験のお話は、次回に。

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