2012年3月14日水曜日

WOMAdelaide!

シドニーで、数え切れないほどのSuburbを歩き回ったり通り過ぎたり、positive parentingに関するセミナーに参加したり、と充実した時間を過ごして、アデレードに戻ってきました。

 日常に戻るかと思いきや、月曜日が祝日といういわゆるLong Weekendに突入。この期間にあったのが、アデレードで一番重要なイベント(とバンド仲間がいう)WOMAdelaide。

 金曜の夕方に始まって祝日の月曜日の夜遅くまで。土日はそれぞれ12時間以上、オーストラリア中、世界中から集まったハイレベルなアーティストが、ライブパフォーマンスをやっているという、(主に)ミュージック・フェスティバルです。日本でいうとフジロックなどが近いものだと思いますが、WOMADという言葉はWorld of Music, Arts and Danceの略で、音楽のジャンルも多様ですが、ヨガやインドのボリウッド調のダンス、パントマイム、アートフェスの要素も含まれています。

 さすがに4日間は体力的にも金銭的にきついので、YHA(ユースホステル)会員割引を利用して3日間パスを購入。計30時間近くにわたって、さまざまなジャンルの音楽(+α)を楽しんできました。

 ということで、シドニーについて書く前に、こちらのイベントについて書き残しておきたいと思います。

 WOMADはイギリスで1982年に始まり、ニュージーランド、シチリア、そしてここアデレードなど、世界各地で開催されています。日本でも一時期開かれていたようです。アデレードでは20年間続いていて、たまたま最後の二文字ADとAdelaideの最初の二文字が重なるので、WOMAdelaideとよばれています。

 音楽好きの僕ですが、日本でフジロックなどの大規模ミュージックフェスティバルが人気になった頃は、子どもが生まれた後で、どんどん家族も増え、(実は家族連れも多いようですが)場所も遠いこともあって、あまり縁がないものでした。

 しかし、バンド仲間はしきりにその良さを語るし、なんといってもアデレードのCityを取り囲む緑地帯に位置するBotanic Park(植物園Botanic Gardenを含む公園)、うちから自転車で20分ほどという至近距離。もう二度とチャンスがないかもしれないということもあり、値は張りますが思い切って行ってきました。

 結論からいうと、値打ちありました。

 まずは、自分の好きなジャンルの大物。実は僕は長く音楽は聞いたりやったりしていても、ミュージシャンに関する知識が乏しく、ほとんど名前を知らなかったのですが、バンドのメンバーに引っ張られてほとんど最前列近くに、陣取って見ることになりました。やっぱりすごい。ついつい体が動き、笑みが浮かんでしまいます。

 一つは、ファンク、ディスコの重鎮、ギターのカッティングといえばこの人(だと恥ずかしながらこのとき知った)、Nile RodgersのChic。僕の年代の人なら、おそらく聞き覚えのある曲がたくさんあると思います。そして誰でも(僕でも)知ってる曲としては、マドンナのLike a Verginのアルバムプロデュース、そしてあの特徴的なギターリフも弾いています。その彼の生のギタープレーを間近で見ることができました。

 もう一つ好みのジャンルのハイライトはラテンジャズのJoe Bataan

 これらはアーティストの説明を読めば、自分から聞きに行くと思われるジャンルですが、WOMADに参加してよかったのは、普段積極的に聞くことはなさそうな素晴らしいミュージシャンの演奏を聴けたこと。
 例えば、バイオリンやギターなど複数の楽器と、パソコンとLooper(自分の演奏をその場で録音して、自動で繰り返し演奏し、その上に音を重ねて行く装置)を使って、一人で多彩な音楽を作り上げていくフランスのChapelier Fou


 韓国の伝統楽器の特にjangguという打楽器のかっこよさに触れられたTori Ensenble


 アイルランドのアコーディオン奏者Sharon Shannon。バイオリン、ギター、ドラム、ベース、サックスなどの大編成バンドを率いて、老いも若きも踊りださずにいられないような、楽しいリズムの繰り返しと変化の絶妙なバランス。何より、メンバーがにこにこしながら演奏している様子に、こちらも引き込まれました。


 そして、さらに全く縁がなかった、Deathcoreとうジャンル。”Gipsey Deathcore”と自称するメルボルンのThe Barons of Tang

 ボーカルの叫びはかなりひずんだ声を使うのですが、演奏のクオリティがとても高く、しかもアコースティック楽器を多用しているので、激しさと透明感の不思議な融合。


 もう一つ、日本でもクラブシーンなどで人気があることは知っていながら、今ひとつ理解できていなかった、DJという存在。日豪の親しい人の中にもこれを趣味にしている人はいますが、全貌を体験したことがほとんどありませんでした。そんな僕が、WOMADでその先駆けの人たちのパフォーマンスを見ることができました。

 イギリスのMad Professor 


 そして日本のDJ Krush


 日本から来た僕が恥ずかしいことにまったく知らなかったのですが、オーストラリア人の友人はよく知っていて、DJ Krushが大都市だけでなく、小さな街も含めて世界中を回っていることをrespectすると熱く語ってくれました。

 昔の「ディスコ」は多少経験があっても、今のクラブとは全く縁がなかった僕ですが、とにかくDJたちの作り出すグルーブ(ノリ?)、特にDJ Krushのものは本当にかっこよく、彼らがしていることが、その場でのループやミックス、イコライジング、ボリュームのコントロールを駆使した音楽の演奏だ、ということがよく分かる、とても大きな経験でした。教えてくれた、こちらの友人たちに感謝。


 震災1周年の3.11、このDJ KrushやパントマイムのSivouplai(シル・ヴ・プレ)という日本から来たアーティストがこちらの人たちの熱狂的な支持を受けているのを見ながら、遠い日本に思いをはせました。

 Sivouplaiはおそらくこちらで有名という訳ではないと思うのですが、はじめ小さかった輪がみるみるうちに大きくなり、言葉をほとんど使わない彼らのパフォーマンスに、こちらの人が爆笑・微笑しているところ、終わった後には3.11のことについて英語のメモを見ながら丁寧に説明し観客たちも温かい反応を返しているところを見て、なんだか胸が熱くなりました。

 昭和のテニス青年たちのような白づくめの衣装の二人と写真を撮りたい親子連れが行列を作っていたのも、とてもほほえましい光景でした。

 悔やまれるのは、もう一組の日本からのミュージシャンPascalのステージを見逃したこと、数回機会があった、最後の枠に行ったら、なんとその枠は演奏ではなく、日本料理(茶巾寿司)紹介のセッション。しばらく事態が把握できませんでした。

 このバンド、なんとあの「たま」のメンバーたちの参加しているバンドで、とても面白そうだったのです。本当に残念。


 というわけで、とても長い紹介になってしまいましたが、見逃したものを含めて、これでも紹介したいものの半分くらいかと思います。

 自分の音楽の好み(と思い込んでいるもの)の垣根を越えて音楽を堪能した3日間、とても貴重な経験でした。フジロックも家族で行ってみたいなという気分になりましたが、旅費も含めて高いですよねえ・・。

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