2012年6月29日金曜日

区画と街並み(アデレードから京都を想う)

日々、自転車で移動していると、あちこちで売り出し中の住宅が目に入ります。

普段の移動範囲は歴史ある家が多いので、そのまま中古で売り出されることが多いですが、たまに更地になっているところがあると、区画の様子がよく分かります。


アデレードの住宅地の典型的な区画は、下の写真のような間口の狭く奥に細長い形。このあたりの地域はシティに近い平地部分としては、かなり広い方で、この土地は1300平方メートルですから、400坪くらいです。伝統的な戸建て区画がクォーターエーカー(つまり4分の1エーカー=1000平米くらい)と言われていて、800-1200平米くらいがよく見るサイズですが、同じ地域はだいたい同じようなサイズで同じような形をしています。たまに2区画以上をあわせた巨大な宅地がありますが、基本はこの形。

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このような土地に、下の写真のように、道路側に比較的寄せた形で家を建て、後ろに広大なバックヤードがあるというのが、伝統的な住宅の形ですが、新しい家は建物が巨大化してバックヤードが狭くなりがちとのこと。(バックヤードの話はこちらこちら

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下のGoogle Mapsの地図と写真モードを切り替えると、その様子がよく分かると思います。


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シティーから車で30分以上離れたような、もう少し価格の安い新しめの住宅地は、下の地図のように少しサイズが小さくなりますが、だいたい同じような作り。前庭がオープン外構になっているところが多いですが、基本的な作りは似ている。


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こうした(規制に基づくらしい)統一感を日々目にしていると、自分の家を含めて、日本の住宅地は、よく言えば自由度が高く、悪くいうと不統一なんだなあと改めて感じます。少し調べてみると、特に日本の戦後の都市計画の規制の緩さは専門家がよく指摘しているようですね。大規模開発はさすがに区画をそろえますが、小規模開発が重なるとかなりばらばら感あり。

大学時代・大学院時代と長く過ごし、今でも行く機会の多い京都は、かなり規制の厳しいところで、大学時代も新しい京都ホテルの高さの問題が議論になっていました。若かったその当時は、「規制は悪」と単純に考えていたような気がするのですが、他の地域を沢山見るようになってから改めて京都を見ると、住宅地から山が見渡せる大都市の貴重さを感じるようになりました。

その京都ですら、5年前にアデレードから戻って京都駅ビルから眺めたときに、建物の高さの不揃いさにショックを受けた記憶があります。

とはいえ、修学院離宮近くの風致地区になっている下の地図のような場所は、さすがに見事な景観という感じがします。家を建てる個人や業者からすると不自由な部分が多いのだろうと思うのですが、アデレードのように都市全体に「規制」のおよんでいる地域に住んでみると、「規制」の持つ魅力創造の力を強く感じます。

自由と規制、なかなか単純に白黒つけられない問題ですね。




アデレードの細長い区画を見ると京都の町家を思い出しますが、アデレードと比べてはるかに小さい土地をどのように使っていたのか、学生時代京都に長く住んでいたにもかかわらず、ほとんど知らないということに改めて気づきました。

そんなことを考えていて見つけた、株式会社「庵」の取り組み。ステイはちょっと(懐具合が)難しいですが、帰国したら「京町家見学ツアー」くらい参加してみたいなあ。

なお、こちらの素晴らしい試み「京都市明細図オーバーレイマップ」で京都の路地や区画の昭和初期との違いが分かります。全体としては、道幅も含めて変わっていない部分が多いことに感動しますが、細かく見ると郊外の方で大きな屋敷地が分割された様子なども分かって、とても興味深いです。

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