2012年5月29日火曜日

セミナー報告の果実

2週間前にあったセミナーでの報告。実は、自分で研究所の所長に志願して、設定してもらったものでした。僕の滞在の目的はオーストラリアについての研究ですが、自分が今の時点で貢献できるのは、こちらの人に馴染みのない、日本のことについて伝えることかなと思って、あえて滞在の中間点では、日本ことについて報告することにしました。具体的には、研究所の専門領域とも重なる、出生率と育児休業などの仕事関連の政策がテーマです。

このセミナーに同じ大学の別キャンパスから参加した大学院生(中東のある国からの留学生)が、終わったときにに声をかけてくれました。日本を含む複数の国の時系列データを使った男女平等関連の研究で、日本だけが他と異質な結果になるので、背景の解釈についてアドバイスがほしいというものでした。

改めてメールをもらって日程を設定し、今日、ミーティングをしました。まず、彼女の分析結果について説明してもらったのですが、日本について英語に書かれた先行研究などは、とてもしっかり整理していて、特に補足することはないんじゃないかなというくらいでした。

それで、統計手法の性格などを考えつつ、よくデータを見てみると、どうも日本の女性の戦後の労働力率の変化にポイントがありそう。日本の人たちの中でも、戦後女性が社会進出していったようなイメージが一般には広く持たれていますが、高度経済成長期に急速に農業・自営業中心社会から会社に雇われる働き方中心の社会に変化するなかで、女性の専業主婦化が進み、労働力率は下がっていったんですよね。それから上昇するので、変化が一方向でない。

そんなことを話ししていると、分析方法で改良すべき点が見つかり、とても喜んでくれていました。彼女自身の国の状況と大きく違うということも興味深かったらしく、こちらも改めて日本の変化の特徴を意識することができたし、セミナー報告で目指していたことが少し実現できた1日でした。

午後は、また日本の自治体関係の仕事の資料にコメントを書いて終わってしまいましたが、こちらの調査の準備も今週中には何とか目処をつけなければ! R0022628
日曜の夕方、買い物に行く途中で通った近所の公園にて
写真をクリックしてflickrに入り、さらに写真をクリックすると拡大し、奥の丘がきれいに見えます。アデレードは三方をこんな感じの丘に囲まれ、西側がビーチになっています。

2012年5月26日土曜日

ふぞろいの卵たちとKikki.K

今週のアデレードは、毎日雨が降り、5月としてはunusualだと周りの人が言う寒さ。自室はオイルヒーターを貸してもらっているので、上半身は気持ちのいい暖かさですが、フローリングの床は冷え切った状態。机に座っているときは布団を足にまいています(笑)。

晴れていたと思ったら、突然大雨という不安定さなので、自転車で家を出るタイミングを逃し、ほとんど家で仕事をして過ごしました。結局、2日間だけ研究所に行ったものの、帰り雨に降られ、ズボンびしょ濡れで帰宅、という悲惨な状態に。でもtikitにつけているバッグ Ortliebのfront rollerの防水は完璧。中に入っている本もまったく問題なしでした。

そんなわけで、今週は写真もほとんど撮っていないので、少し前の写真をネタに書いてみます。

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上の写真の卵、なんか違和感ありませんか?そう、サイズがばらばらなんです。少し前ですが、知り合いの知り合いがtikitに関心があるというので、僕のtikitを試乗しに来ました。そのときに、自分の家の鶏が産んだ卵だといって持ってきてくれたものです。

スーパーに並んでいる卵は、LとかMとかサイズできっちり分けられていますが、考えてみたら結構な手間ですよね。この自家製(?)卵、黄身がちょっとつついても崩れないくらいしっかりしていて、とても美味でした。

都市部と山が近いので、こういう家禽・家畜的な動物を飼っている人に結構出会いました。牛、鶏、山羊、アルパカなどいろいろです。

もう一つ、少し前に撮った写真から。
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近くの比較的高級志向のショッピングモールBurnside Villageで見つけた店。オリジナルブランドの北欧デザインの文具や小物を扱っています。(しっかりtikitも写し込んでいますが)こちらのGo豪メルボルンのサイトでも紹介されていますが、スウェーデン生まれでメルボルン在住のスウェーデン人の人が立ち上げたブランドのようです。


とても目を惹く色使いとデザインで。日本に進出する前なら、お土産にいいかもしれませんね。

2012年5月25日金曜日

2005年以降の出生率上昇に注目!(2011年についての追記あり)

先週は、火曜日にセミナーで日本の出生率の変化と仕事と子育て関連の政策の変化について報告し、その後、日本の育児休業などの政策変化について書いた原稿に編者(イギリス人)からの質問への回答をつけて送付。

これで、最近集中して取り組んでいた日本に関する仕事は一区切り。今週は、オーストラリアでの調査関連の資料・文献を読んだり追加収集したりを再開しました。

今日のブログは、先週のセミナー報告の時に調べて重要だと思ったことについて、ちょっと紹介します。(グラフはKeynoteで作った当日のプレゼン用グラフです)

日本については、国立社会保障・人口問題研究所の人口統計資料集2012年版の表4-3,4-7,4-9のデータ

オーストラリアについては、オーストラリア統計局(Australian Bureau of Statistics)の
3105.0.65.001 Australian Historical Population Statistics, 2008のtable 5.4のデータを使っています。


「一人の女性が一生の間に生む子どもの数の平均」という表現で、毎年新聞の1面にその最新数値が掲載される「合計(特殊)出生率(Total Fertility Rate)」。
TrendsTFRAusJapan.012

この合計出生率は、実際に女性の一生をたどっているわけではなく、その1年の各年齢の女性の年齢別出生率(Age Specific Fertility Rate)の合計です。そして年齢別出生率とは、ある年齢の女性を母親とする1年間の出生数を、その年齢(10月1日時点)の女性の総数で割ったもの(年齢別出生率 )です。つまりある年の各年齢の女性が子どもを産む確率を、一人の女性の各年齢段階での出産確率に見立てて、その合計をその「仮の女性」の生涯の平均子ども数の指標とするわけです。

そして、この数が2004年に1.29になったということが2005年に発表され、年金問題と絡めて大きな話題になり、さらにその年の出生率が1.26まで下がり、しばらくの間、かなり悲観的な論調が支配したことがありました。(緑の線で示したオーストラリアの合計出生率はかなり高い水準です)

ところが、この数値はグラフのように、2005年から2010年にかけてほぼ上昇を続けています(08-09は横ばい)。毎年ちょっとずつの上昇が報じられるだけでしたし、結構変動するものなので、僕自身それほど注目してはいませんでした。しかし、今回改めて細かく見てみると、この5年の変化はもっと注目してもいいように思いました。

こちらの記事は、人口学者を中心にいろいろな専門家のコメントが載っていて、参考になります。

変化の内実の詳細な人口学的分析は、国立社会保障・人口問題研究所の金子隆一さんがされていますが、僕はシンプルに年齢別出生率の変化の実績に注目して見てみました。

上のグラフの合計出生率でみると、いったん沈んで再び上昇したということしか分からないのですが、下のグラフの年齢別出生率の変化を見ると、もう少し細かい変化が分かります。

TrendsASFR.020
表4-7のデータより

僕が一番興味深いと思ったのは、1985年くらいから一貫して低下してきた20代後半の年齢別出生率の低下が、2005年以降、少し上昇してほぼ横ばいになっていることです。70年代後半からいったん上昇しながら2000年を過ぎて低下していた30代前半も、再び上昇しています。30代後半は80年以降一貫して上昇していますね。

ASFRcurve2000_05_10.019
ついでに、1歳刻みのデータ(表4-9)を使って横軸に年齢をとったグラフを3年分比較しています。2000年、2005年と比べると、2010年ではピークが緩やかになって幅広い年齢層の女性が出産していることが分かると思います。

2005年以降のこの変化の原因はおそらく複合的なもので、特定することはかなり難しいのですが、ここ10年くらいの取り組みがそれなりの効果を生んできたのではないかと、感じさせる変化です。

育児休業制度は1992年に導入されて以降、雇用保険による所得の補填が加わり、さらに増額されたり、短時間勤務の制度化など、めまぐるしく変化しています。

調査や学生の就職活動の様子を通じて企業の取り組みを見ていると、2005年年前後から、急速に「仕事と子育ての両立」や「仕事と生活の調和(いわゆる「ワーク・ライフ・バランス」)」を明確に戦略の中に位置づける動きが活発になった印象があります。外資系を中心に早くからこうした取り組みを進めてきた会社はありましたが、2005年ごろの急速な変化とタイミング的に重なっているのが、「次世代育成支援対策推進法」の施行です。

2003年に成立したこの法律は、事業主に2005年からの計画を都道府県の労働局に提出することを義務づけています。また、男性の育休取得など、計画内容と達成状況に関しての条件を満たした企業を厚生労働大臣が「子育てサポート企業」として認定し、そのことを広報できるようにすることを制度化したものです。「くるみん」というキャラクターは結構有名になっているのではないでしょうか。

もちろん、内実が変わる保証はありませんが、少なくとも企業の中でこの取り組みをしなければならないという認識を高める上では、効果があるように感じます。2011年7月1日の時点で1000社以上が認定を受けたとのことで、企業のホームページを見てみると分かりますが、多くの企業がCSRのレポートや、採用情報の中で、この「くるみん」を使っています。

もっとも、制度を改めて見れば見るほど、多くの制度が「正社員」中心で、「期限を定めた契約」で働いている人や、多くのパートタイマー、自営業の人たちが、こうした取り組みから漏れているということも分かります。

こういう問題はありつつも、自分を含めて、これまで研究者もメディアも問題点ばかりを指摘して、うまくいったところを確認する作業がおろそかになりがちなこと考えると、こうした変化はもっと注目してもいいのではないかなと、今回のセミナーの準備を通じて強く感じました。

というわけで、珍しく自分の研究テーマの中心的な問題についての話になりましたが、こういうことはもたもたしていると時機を逸するなと思って、とてもおおざっぱな内容ですが、ブログにアップしてみました。

【6月8日追記】
6月5日、厚生労働省が、昨年分の人口動態統計月報年計を発表しました。新聞各紙も報じています。2011年は2010年と同じ1.39横ばいとのこと。新聞記事を見てみても、横ばいということが強調されていたり、それを受けて「少子化対策の練り直しが急務」ということが書かれています。仕事と生活を調和させられる社会、子育てしやすい社会作りを進める必要性に関しては、まったく異論はありませんが、元データを細かくみると、急にトレンドが変わってしまったような印象を与えるのは、得策でないように感じました。

母親の年齢別出生率についての詳細データは、以下のサイトの概況PDFのp.6の表4-1です。上のグラフの最新版といえるものがp.7の図2です。http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai11/index.html

30代以降の上昇傾向は変わらずでしたが、20代前半の低下幅が比較的大きかった様子です。日経新聞の記事にも30代以降の上昇傾向についはて同じことが書かれていましたが、20代をまとめて大きく低下(かつ出生「数」の記述と混ざっている)というのは、ちょっとミスリーディングかなと思いました。20代後半の年齢別出生率も低下はしていますが、0.4356から0.4349への低下です(1歳刻みの年齢別出生率を5歳分合計しているので、25-29歳の女性1人ずつ計5人に対してという値)。20代前半の低下はこれより大きく、30代以降の上昇を打ち消しているという感じです。ただ、完全に打ち消すほどの数字ではないなと思って、分かっている数字を活用してもう一桁下まで計算してみると、次のようなことが分かりました。
発表されている年齢別出生率(1歳刻みの結果を5歳ごとに合計したもの)が小数点以下第4位まで示されているので、それを合計して四捨五入し、小数点以下第3位まで見ると2010年1.387、2011年1.393でした。(報告されてる5歳分の合計自体が四捨五入された結果なので0.001程度の誤差はありえますが)
たしかに、四捨五入するとどちらも1.39ですが、上のブログ記事で書いた傾向は、何とか続いているといっていいように思います。

合計出生率のように値の小さい変化が意味を持つ議論の場合、四捨五入の結果の読み方には注意が必要ですね。仮に1.374-->.1.385-->1.394という変化があった場合、それぞれの間の上昇は0.011と0.009とさほど違いがないのですが、四捨五入すると、1.37-->1.39-->1.39となって「0.02の上昇から横ばい」と、変化が鈍った印象になりますから。(この数字は、実際の変化ではなく、あくまで分かりやすくするための極端な事例です)

2012年5月22日火曜日

贅沢な自転車専用道 in Adelaide

基本的に2週間ごとの日曜日に行われる、クラブのサイクリング。2週間前の宿泊サイクリングは仕事の締め切りが重なっている時期につき不参加だったので、昨日は4週間ぶりのクラブのサイクリング。

シティの南の丘陵地帯を抜けて南西部のビーチに出るというコース。この地域は5年前の生活圏は。いつも車でよく移動していたあたりを自転車で通り抜けるということで、知っている場所を違う形で体験できてとても新鮮でした。モーニングティーの時間に寄ったHappy Valley Shopping Centreのマクドナルドは、Family Day Care(家庭型保育)で子どもたちがお世話になっていた家の子の誕生日パーティーで行った場所。忘れかけていた記憶がよみがえりました。

しかし、懐かしさ以上に、通った自転車レーンが素晴らしかった。Sourthern Expresswayという自動車専用道路に沿って走る、自転車専用道Patrick Jonkar Veloway(7kmちょっと)。そして、Coast to Vine Rail Trailという、廃線になった鉄道の跡地を使った歩行者・自転車用道路。前者はかなり坂のきついところもありますが、Shimano Inter 8を載せた僕のtikitの1速でそれほど問題なく登れる程度です。

Velowayの南端でCoast to Vine Rail Trailに接続していて、南に行くとアデレード周辺のワインの名産地の一つMclaren Valeまで延々続いています。西に行くと6-7kmで、Hallett Coveを経てMarinoというあたりのBeachに出ます。今回はビーチを目指して西へ。
下の地図の赤い線が走ったルートですが、右下隅の四角いループはモーニングティーのための寄り道で、上に書いた2つのbike trailから外れています。



ということで、今回はこの自転車道を紹介します。言葉の使い方を見ていると、bike laneは道路の一部にある自転車通行帯。今回通ったような専用道はbike track, bike trail, bike pathというようです。

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これ(上下写真)はVeloway。Southern Expresswayという自動車専用道とほぼ並行していて、徒歩では通れません。コンクリートのガードレールで完全に区切られています。

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Velowayの東側はのどかな谷の風景。奥(北東)はシティの方角。

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Cityから車で30分弱のところですが、このあたりは馬や羊がいます。

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上に書いた二つの自転車道路からは、ちょっと外れたあたりの川沿いの公園。昔の邸宅跡らしく、奥に見える立派なstone pineの木が4本あり、巨大な松ぼっくり(pine cone)がごろごろ。

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Coast to Vine Rail Trailに入りました。

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新たに開発の進んでいる地域の道路にいったん出ますが、車道の片側の歩道部分が対面2車線の自転車と歩行者用道路になっています。ただし、段差があって、車道とはしっかり区分されています。
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だんだん海が見えてきます。
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ここで車道を横断。Coast to Vine Rail Trailは反対側からまた続きます。

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対向自転車が来ました。2台併走できるくらいの幅がありますね。柵の左は車道。

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ビーチ沿いに到着。しばらく低めの崖の上で未舗装路が続きます。

海沿いに来ると、家族を連れてきたかったなあ、といつも思うんですよね。

最近日本では、対面通行の自転車レーンについていろいろ議論がされているようですが、今回紹介してきたようにアデレードでもよく見かけます。メルボルンでもたくさん見ました。ただし、自転車同士が対面になっているのは、車道等との間にしっかりした仕切りのあるところ、あるいは完全に車道からは隔離されているところです。幅については、たいてい片側1.5m以上はあると思います。

ビクトリア州の歩行者・自転車道の幅のガイドラインを見つけました(こちら)。自転車の交通量などや通常走る距離などに応じて幅が設定されています。

一方、車道の一部に線を引いただけのBike Laneは、すべて車と同じ方向を向いて走り、逆送する自転車はありません(こちらのエントリ参照)。子どもは歩道を走れますし、そもそも車の多いところで自転車に乗っている子どもは見かけません・・。(2回前に書いたように、これはまた別の問題をはらんでいますが・・)

今回のルートは30キロちょっと、その間ちょっと寄り道をしたので、5キロくらいは普通の街中を通りましたが、それを除くと自転車専用道か歩行者とshare。アデレードは自転車を楽しむには本当に最高のところです!

2012年5月19日土曜日

日本の歌で里心 ミスチルGIFTの味わい(押韻)

アデレードは日本の食を含め、いろいろな国の食べ物が手に入るのでので、あまり食べ物のことで日本に里心というか郷愁を感じることはありませんが、なぜか日本語の歌が心に染みることがよくあります。 

長年バンドでギターやボーカルをやってきましたが、そちらでは、ハードロック、ファンクっぽいロック、フュージョン、プログレなどが中心。それぞれかっこいいと思っているのですが、一つの曲をすごく好きになって、繰り返し聞いたりするのは日本のポップスの場合が多いです。

小学校の頃からテレビっ子で、特に小学校時代の「歌謡曲」や「アニメソング」、その後の「ニューミュージック」などが自分の音楽好きのルーツだからかもしれません。

日本語の歌といっても、僕は歌詞から入るタイプではなく、メロディーやコーラス、バックのアレンジなどの和音の響きがまず耳に入ってくる。なので、歌詞については、聞いてるだけで頭に入ってくることはほとんどなく、文字で見て初めて分かることが多いくらいです。聞くだけだと歌詞を聞こうと思っても、いつの間にかハーモニーとか楽器の音とかに神経が行ってしまうのです(笑)。ですから、日本語のポップスで里心といっても、歌詞の中身に反応しているというよりは、メロディーや和音のきれいさと耳に慣れた日本語の響きが郷愁を呼ぶという感じなのでしょう。

外国での経験に話を戻すと、5-6年前のアデレード滞在では福耳の「惑星タイマー」にはまりました。元バービーボーイズの杏子、山崎まさよし、スガ シカオのスペシャルユニットとしてスタートした福耳ですが、この曲はスキマスイッチが作詞・作曲して、もちろん歌でもメインに近い位置づけで参加、他に、元ちとせなども入っています。これだけの実力派揃いでですので、この曲もきれいなコーラスに感動して、自分で多重録音したりしていました。ええ、オタクです(笑)。

そして、今回の滞在では、少し前に、浜田麻里。懐かしい名前かもしれませんが、驚くことに最近さらにパワーアップして、さらに声に深みというか丸みが出て、とてもいい。本当にすごいです。関心のある方は、2009年以降くらいのライブ映像とアルバムの情報を検索してみてください。

さらに、ここ一週間くらい(セミナー発表や英語での原稿修正締め切りがあったというのに・・)、はまってしまったのが、ミスチル(Mr. Children)のGIFTという曲。

たまたま身近な人のブログで紹介されていて、聞いてみたのですが、すっかりはまってしまい、毎晩数回は聞き続け。ギターのコピーまでしてしまったという・・・。

ミスチルは院生時代くらいによく聞いていて、Innocent WorldやTomorrow Never Knowsはカラオケでもさんざん歌ったものですが(笑)、最近は奥さんが買ってきたり借りてきたりしたときに聞く程度でした。だから、数年前に発売されたこのGiftも、一部は聞いた記憶があったものの、通して聞いたのは初めてではないかというくらい。

Giftの歌詞のリズム(押韻)分析


メロディー、コーラス、コード進行、ギターとピアノのアレンジ、シンプルでパワフルなドラム、すべてがツボにはまったのですが、今回、歌詞についても聞き込んで発見したことを書いてみます。歌詞の内容ももちろんいいのですが、その歌詞を印象的に響かせるテクニックが桜井さんならではと、うなってしまいました。ミスチルの曲は常にそうですが、聞き流して覚えたつもりになってていたも、歌ったらぜったい歌詞がはまりません。

英語の歌のように、一つの音符に複数のひらがながはまってるというのがその難しさの理由ですが、これについては、昔の歌謡曲のように一つの音符にひとつの入っていることのほうが、かえって話し言葉の響きからかけ離れているんだよな、と常々考えていました。逆に、日本語が崩れているように聞こえるサザンとか佐野元春とかミスチルのはめ方の方が、言葉を大切にしているのではと思っていたくらいでした。

しかし中でもミスチルの歌詞のはめ方は、パターンが読めず、きわめて難しい。Giftもきわめて不規則。

でも、繰り返し聞いていたら、このはめかたが、明らかに必然的なリズムを作っているということに気づいてきました。

ミスチルの曲の歌詞が英語と日本語を混ぜて韻を踏んでいるというのは、よく知られた話で、GIFTについても、GIFTという言葉と韻を踏んでいる箇所については、いろいろな人がブログに書いているのを発見しました。

でも、それ以外の場所での韻の踏み方も見事。同じ響きの繰り返しで、強く印象づけられます。 そのために、母音を変えているところもあるような気がします。

そこで、分析してみました。

1コーラス分のメロディーは3つの部分に分かれるので、順にAメロ、Bメロ、Cメロとしています。「あーえ」などと書いてあるのは、「あ」の母音で伸ばして「え」で終わるという形で韻を踏んでいるとうい意味です。

「  」でくくった部分が韻を踏んでいる場所で、縦をそろえて表記しています。( )は音符の間に来て音がほとんど省略されるいる部分です。

どこかで音源を探して、ご確認ください(笑)。

Aメロ 「gift」


君がくれた GIFT, 
わたす(と)き、ふと
  むねに 聞くと

Bメロ(1番と2番で韻の踏み方が違います)


1番「あーえ」

    渡し 「た(く)て」
ぐしゃぐしゃに「なって」
    変わり「はーて」

2番「おーお」

荷    「も(つ)も」
君の分まで「も(つ)よ」
(そばにい「てよ」 ※ここは「よ」だけ)

Cメロ(サビ) 「あーえ」


1番

突きつけ「らーれ」
壁の  「ま(え)で」
そのあい「だ ー  に」(「あーい」だけど、近い)
広   「が って(る)」
色さ  「が(し)て」

2番

者とは  「だーれ」
僕じゃなく「たって」
ひざしが 「あって」
ひかげも 「あって」
意味を  「もって」(「まって」のように発音している)


ついでに、Bメロの一番高い音(シ♭)の部分。


1番は「グジャグジャになって」の1個目の「ジャ」で、2番は「君の分まで」の「ぶ」ですが、「ぶ」を「ば」に近く発音しているので、同じような響きに聞こえます。たまたま高い音だから口が開いて「あ」の母音に近づいているのかもしれませんが。サビの「持って(「まって」のように発音)」のこともあるので、意図的かもしれませんね。

もう一カ所、同じ響きの繰り返しの気持ちのいいところ。


ふーりーそ-そ-(ぐ) ひざしがあって
 だからこ-そー ひかげもあって

 以上、GIFTの押韻分析、いかがでしたでしょうか。きっと他の部分にも隠れているでしょうね。

2012年5月18日金曜日

小学校に歩いて行こう!:National Walk Safely to School Day

いつものように、研究所の円卓でランチ(家から持って行った「肉じゃが」と白ご飯ですが・・)を食べながら、アデレードの地元紙Advertiserを読んでいたら、OpinionのコーナーにA Step in the Right Directionという記事が。

 このリンクの下3分の1くらいのところです。

このタイトル自体は、はっきり中身を示していないのですが、何の「正しい方向」だろうと思って、記事に目を移すと”Walk Safely to School Day”との文字が。いつも興味を持っていたことと関連ありそうだったので、お、これはと思って読んでみました。

どうやら、今日が「その日」らしい。国を挙げて、文字通り「学校に安全に歩いて行こう」という日。

日本人の感覚では「安全に」がポイントだと思ってしまうと思いますが、オーストラリアでは「歩いて」行くのがポイント。というのは、基本的に(特に低学年の)小学生は親が車で学校まで送っていくのが「通常」で、今日はそれをやめて歩こうという日。ただし「親と一緒に」です。

日本では最近、登下校中の子どもたちが巻き込まれた悲しい事故が頻繁に報道されていましたが、その危険性を減らそうと思うと、オーストラリアのように車で送るしかないのかもしれません。しかし、オーストラリアでは、この車での送迎の問題について語られているという状態で、いろいろな人から同じような意見を聞きました。その表れが、今日のWalk Safely to School Day(13年目らしい)で、新聞記事には問題意識が分かりやすく書かれていました。

挙げられている問題は

  • 子どもたちの肥満 
  • 親たちが子どもたちの安全と保護にたえず意識を注いでいる時代になって、通りを何時間も歩き回ったり、自転車で遊びに出かけたりという、成長の重要な一部分を失ってしまったように思われる。 

 です。

写真入りの別の記事

こちらがその主催団体のサイト。

少し前のエントリーにオーストラリアの安全意識の高さについて書きましたが、行き過ぎてしまうと、そこには別の問題があって、難しいなあと感じました。

2012年5月16日水曜日

深まるアデレードの秋

アデレードはすっかり秋も深まり、ご覧の通り、木の葉がどんどん色づき、落ち葉も増えてきました。
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奥に見える木。一部の葉っぱ(かどうか不明)だけが赤くなる不思議な木なのですが、何という木か分からない。

日本にいるときは、通勤距離が長かったこともあって、仕事から帰ってくると日が暮れているのが当たり前だったのですが、昨年9月下旬にアデレードに来て以来、家に帰ってもしばらく明るいというのがずっと続いていました。

ところが、最近は夕方6時前には完全に日が暮れてしまうので、5時過ぎに研究所を出て買い物によったりすると、帰り道は真っ暗。ちょっと寂しい気分になりますね。

それにしても、こちらの人は、夕方になると車も自転車も完全にライトを点灯。自転車は、昼でも点滅ライトをつけている人がかなりいます。交通ルールの本に書いてあるということはあると思いますが、何につけても安全についての意識が高いということは、とても感じます。

自転車で走っていると、駐車場や路地から出てこようとしている車の運転手さんが、まだだいぶ距離があるのにこちらが通り過ぎるまで待ってくれるということがとても多いので、なんだか申し訳ない気分になってしまいます。

また、自転車で走っているすぐ横をすごいスピードで車が通り過ぎていくということは、日本ではしょっちゅうですが、アデレードやメルボルンでの経験では、そこまで大回りするかというくらい(車1台分?)離れて追い抜いていきます(メインの大通りは除く)。道が狭くて大回りできないようなときは、こちらが止まってよけたりしない限り、忍耐強く少し後ろをのろのろ運転で着いてきます。

もちろん、危険な運転をする人はこちらにもいますが、それは少なくとも郊外ではかなりまれ。

このあたりの違い、なぜなのか、とても興味深いです。

2012年5月15日火曜日

セミナー報告終了 プレゼン準備のポイント

今日の午後、研究所の公開セミナーで、日本の出生率の変化と育児休業などの政策の変化の関連について報告をしてきました。準備の過程でいろいろ発見があって書きたいこともあるのですが、ここ数日ずっとその関連の資料ばかり見てKeynoteスライドを準備していたので、今晩は書く気力なし。これについては明日以降にします。

プレゼンの仕方について、忘れないうちの自分メモとして、感じたことを書いておきます。

仕事がら、講義や学会発表、一般向けの講座などで、「プレゼン」をする機会が常について回ります。Presentation Zenを読んで以来、スライドの使い方がかなり変わりました。詳しくはこちらに。

しかし、アデレードに来て以来、講義からも解放されていたので、半年以上ぶりのプレゼン。いつも使っているAppleのプレゼンソフトKeynoteを操作するのも久しぶりという感じ。

そういうわけでプレッシャーを感じつつも、Keynoteでスライドを作り始めたのは、昨日の夜。

学会もそうですが、オーストラリアでのこの手の研究発表は、ほとんどペーパーレス。オンラインで資料が入手できることもありますが、そうでないことも多い。聞く方は資料は残りませんが、対面でやりとりをすることやネットワーク作りが主眼の口頭発表では、合理的な気がします。聞いてみてしっかり内容を知りたければその人の論文などを読めばいいので・・。

僕は日本では、いつも配布用資料とスライドを別に用意するのですが、上のような事情で今回はスライドだけでいいので、準備は楽でした。

スライド作りのステップは次のような感じです。

(1)先週まで書いてた育児休業についてのレポートと内容が重なるので、Scrivenerの同じファイルの中に、必要なPDF資料などを追加。

(2)論文類はEndnote X5に登録して、PDFもその中のビューワー(新機能)で読む。

(3)Scrivenerの(1)と同じファイルの中のDraftフォルダに、このセミナー報告用のサブフォルダ作成。そこにプレゼンの柱となる項目ごとにフォルダやドキュメントを作り、使うべきデータの名前やファイルへのリンク(scrivener link)や解釈などを書きこんでいく。

(4)エクセルでデータファイルを作成、それもScrivenerに登録。

(5)Keynoteを開き、Scrivenerの中の流れに沿って、必要なスライドを作っていく。スライドに入れ込まないが、口頭で補足したいことはノート欄に書き込む。

この(4)までの作業から(5)にいつ移るかというのが、悩みどころ。本当はもう1日くらいは早いほうが昨晩遅くまで作業しないですんだのですが、まあ、ぎりぎりいいタイミングだったと思います。

使う可能性がある内容やデータは、Keynoteやパワポなどのプレゼンソフトで作業する前に、他の場所に書き出した方がいいように思います。僕の場合はScrivenerですが、ワープロ、エディタ、手書きノートなど、使いやすいものでいいでしょう。

パワポはどうしてもスライド一枚一枚の独立性が高く、全体の流れなどを捉えづらいからです。

そして、パワポに詰め込んでしまうと、削るのがつらくなって、どうしても多め多めになってしまいます。むしろ、他の場所に書き出して全体の構成を作り、そこから、必要な部分を抜き出していった方が、面倒な分、ミニマムに抑えられて、すっきりしたスライドになると思います。

今回も、ちょっと内容が少なすぎるかなと思うくらいでしたが、午前中でスライド作りは打ち切り。昼から報告までは、スライドの流れの確認時間に充てました。

結局、スライドの内容を極力絞った分、それぞれのスライドごとについて沢山質問が来て、やりとりに有意義な時間を使いつつ。ちょうど時間をめいっぱい使って終わりました。

報告用のメモも最小限で、結局ほとんど見なかったのですが、質問を随時してもらうかたちにしたおかげで、言い忘れたところはちゃんと突っ込んでもらえて、とてもいい感じで進めることができました。

もっとも、今日は90分の持ち時間だったので、こういう形でできましたが、学会のように20分などという限られた持ち時間の時は、さすがに原稿を用意し、事前に時間を計って時間内に確実に収まるように推敲します。

Presentation ZenではHara hachi bu(腹八分)という言葉で、時間と内容を少なめに押さえることの重要性を表現していますが、スライドの中の文章も、ちょっと言葉が足りないかなというくらいそぎ落とした方が、質問を誘発できてやりとりが活発になりますね。

2012年5月13日日曜日

Mother's Day

オーストラリアも今日はMother’s Day(母の日)。明後日のセミナープレゼンの準備をしないといけないので、今日は家を出ませんでしたが、しばらくまえから、街のあちこちでMother’s Dayの文字を見かけました。 

母の日ギフトの宣伝は日本も同じですが、新鮮に感じたのは、あちこちのカフェ、レストランなどで、当日の予約受付の宣伝や特別メニューを見かけたこと。

 (と思ってウェブで「母の日ランチ」を検索したら、かなり出てきました。あまり意識しなかっただけで、日本でも増えているのでしょうか。)

社会人になった子どもと親の同居は日本と比べて遙かに少ないですが、交流は頻繁。イースターとクリスマスがその代表で、遠くに住む場合でも集まることが多いようですが、話を聞いたり街で見かける様子では、それ以外でも家の行き来や一緒の外食など、とても交流が多そう。共働きの子ども夫婦の代わりに、日中孫の世話をすることも多く、子育て支援施設などには、祖父母向けのGrandparenting(孫育て?)情報リーフレットも置かれているくらいです。こちらはそのPDF版です。


こうした子育ての役立ち情報パンフレットは、こんな感じで子育て支援施設の壁などにズラリと並べられています。(この写真は2010年に撮影したものですが・・)

 自分の母親にはSkype-to-goで電話をしましたが、日本にいる我が子たちは、ちゃんと「お母さん」に感謝の言葉を伝えたのでしょうか・・・。

2012年5月12日土曜日

割り勘の文化、Shoutの文化

飲み会などのときの支払いの仕方。日本は最後にお会計なので割り勘にすることが多い。アメリカやオーストラリアは、ホームパーティーでない場合は、パブのような場所で飲み会が開かれ、バーカウンターで飲み物や食べ物を頼んだときに前払いが多いので、個別の会計という印象がありました。

15年前のアメリカでは実際そういう記憶が。自分があまり量を飲まないので、気楽だし安くあがってありがたいなと思っていました。

5年前のオーストラリアは小さい子どもと一緒だったので、あまりそういう場に行く機会もなし。

今回は一人で来ているので、外のパブのようなところやライブやイベントで友人と飲む機会が結構あります。

そこで気づいたのは、誰かが飲み物を買いに行くときに必ず周りの人に(Does) Anyone want another beer?とか単にAnother beer?などと聞いて、何本かまとめて買ってくるという暗黙(?)のルール。

次は別の人が、という感じで、だいたいバランスがとれるようにはなっていますが、とてもおおざっぱ。さすがに泊まりがけのイベントなど、額が大きいときは、きっちり分けることもあります。でも、普段は何というか長い目でバランスがとれればいい、という感じのお金のやりとり。

こうして人の分も払う(おごる)ことを、オーストラリアの英語ではshoutというようです。旅行ガイドで有名なlonly planetの”Australian Language & Cultureにも、ちゃんと、この習慣のことがのっていました。まとめて買うので、round of drinksともいうらしい。

Wikipediaに説明と写真を発見。まさにこんな感じです。

 仲間内では当たり前のことになっているので、普段言葉で聞くことはないですが、慣れていない僕が自分の分を払おうとしたりすると、It’s my shoutとかmy treatといわれたりします。もちろん後で自分も他の人の分を買ってきますが、結構大きい額になるので財布の中身が気になります(笑)。

 割り勘文化とShoutの文化、お金の払い方を通した人間関係の違いが見えて面白い。

2012年5月10日木曜日

オーストラリアもスポーツの秋(?)

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昨日、冬の楽しみというタイトルでブログを書きましたが、実際は、まだ秋。

研究所に向かう途中で通りかかった公園は、近くの(おそらく)中学生たちのマラソン大会らしきイベントで、大にぎわい。クラスごとの違いなのか、個人の好みなのか、色とりどりのポロシャツで、イヤフォンで音楽を聴いている子がいたり、何ともカジュアルなムードでした。
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それにしても、こんな公園がマラソンコースとはうらやましい。何年か前、うちの子の一人は、(日本の)土の固いグラウンドだったか校外コースのアスファルトのどちらかでこけて、膝を血だらけにして走っていました。痛々しかった・・・。

 何回か書きましたが、子どもの安全へ取り組みは大きく違う気がします。過保護すぎるという批判もあるようですが・・。
 関連エントリーはこちら。
オーストラリアと日本の遊び場
Playgroundの日陰

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日本のような銀杏並木や紅葉の並木はまだ目にしていませんが、通り沿いにはきれいに色づいた木がちらほら。ネイティブの木はほとんど常緑樹ですが・・・。

2012年5月9日水曜日

Aussie流 冬の楽しみ方

アデレードにきて春と夏の間、人が集まる機会は、たいていガーデンパーティーのような形でした。もちろん庭が広いというのは大きいですが、それ以外でもローンボーリングで職場のクリスマスパーティーがあったり、とにかくこちらの人たちは屋外が好き。

バンドの練習でも3分の1くらいの時間は、庭でビールを飲みながら談笑という状況だったので、寒くなったらどうなるのかなあと思っていました。

しかし、夜には10度前後に下がる季節になってきても、やっぱり外。昼はまだ暖房なしでも大丈夫ですが、夜は寒い。それでも暖を採りつつアウトドア。それも、薪を燃やして炎を囲む機会がとても多いです。

日本でも、「田舎暮らし」や「豪邸」についている暖炉(薪ストーブ)はあるようですが、普通の郊外暮らしの自分は体験したことがない。

木造家屋が多くて危険ということも、あるのでしょうね。

でも、冬にぱちぱち燃える火を囲むと、周りは寒くても気持ちも温かくなります。

ウェブで日本にも庭で暖炉を作っている人いるのだろうかと、調べて見つけたページを開いてみると、「ピグライフ」でバーチャルな庭に暖炉を作るお話でした(笑)。(本物の庭の例もありましたよ)。

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こちら友人宅の庭。ハクション大魔王の壺を巨大化させたような移動可能な簡易暖炉で、かなり温かい。

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こちらは、誕生日パーティーで訪れた別の友人宅のピザ用窯(Pizza oven)。義理のお父さんの手助けしてもらいながら、自分たちで煉瓦を積んで作ったそう。

 こんな感じで、こちらの人は、お金をかけず時間をかけて手作りあるいは修理してしまう人が多い。他にも、仕事から帰ってきた後に作業を進めてCaravan(キャンピングカー)を作ってしまった人、プールの周りのパーゴラを作った人などもいます。

 このシェアハウスもリビングに暖炉があるのですが、今のところ使う様子はなし・・・。もう少し寒くなったらオーナーに頼んでみます。

2012年5月7日月曜日

英語はいろいろ(テレビドラマ The Wireのこと)


ここ最近書き進めていた、育児休業等、職場での子育て支援関連の日本の制度について英語で説明するという共著の仕事、ようやくまとめ終わって編者に送付。現在20数カ国分のチェックが終わったらしく、最終的に30以上の国の比較がされます。

さらに来週には、研究所での初セミナー報告。あと一週間プレゼン資料を準備します。日本でも毎日のように授業や市民講座などでKeynoteを使っていましたが、アデレードに来てから初めて。なんと8ヶ月ぶりくらいではないでしょうか。

15年前アメリカの研究会で初めて英語で発表したときのことを、今でも覚えています。研究内容も途上のうえに英語も自信なしということで、目の前でうとうとしている人もいるし、頭が真っ白になって、とっても苦い経験でした。

今でも、短い自己紹介などでは緊張しますが、今度のセミナーは(まだ準備できていないのに)、なんだか楽しみ。ようやくゆっくり自分の話を聞いてもらえる喜び、というところでしょうか。

周りの人は、僕の英語が来たときと比べてずいぶん変わったと言ってくれるのですが、相変わらず、こちらの人同士が早口でしゃべっているときには、なかなか割り込むのは難しく、言いたいことをいえないもどかしさがある・・。

セミナーでは比較的長い時間、自分の話に耳を傾けてくれるので、ようやく自分がやっていることが伝えられる!と、わくわくしています。

ちょっとタイトルと違う方向に行ってしまいましたが、ここから「英語はいろいろ」の話です。

最近友達に勧められて、The Wireというアメリカの犯罪捜査もののドラマを見始めました。警察を中心とする人間関係をリアルに描いているというのが、その友達の説明だったので、「踊る大捜査線」みたいなもの?などと思っていたら、まったく雰囲気が違う。

字幕付きで見ているのですが、1st Episode、まず聞いていて何を言っているかさっぱり分からないし、字幕を見ても分からない。さらに辞書を見ても分からない・・という状態。造語だらけの『時計仕掛けのオレンジ』を大学の英語の授業で読んだとき依頼の衝撃。

結局最終的には、ウェブのUrban Dictionaryを見てやっと分かるという状態。このUrban Dictionary、最新のスラングなどの説明を読者が自分で書き込み、それを見た人が「納得・反対」(Thums up, Thubs downの絵のボタン)を投票するというもので、英語圏の生活の中の表現を知るにはとても便利です。

とまあ、そんな調子だから、1時間の番組を見るのに2時間かかりました。しかも登場人物が多すぎて名前と顔が一致しない。紹介してくれた友人へのメールで、こんな現状を訴えたら、数回は自分が見てもそんな感じだけど、少し立てばだんだんinsightfulだということが分かってくるから、と説得される。

少しウェブで調べてみると、アメリカ東部Maryland州のBaltimoreでドラッグ売買をしている若者たちの隠語とアクセント、警察の隠語など、アメリカ人でも分からない部分が多いらしく、そのこと自体が意味を持つとか。

別のオーストラリア人の友達も、ところどころで止めて夫婦で内容を確認し合っているくらいだという。

ということで少し辞書を引く頻度を落として、とにかく通して見始めるように変えてみて、昨日で4話目が終わったところ。相変わらず言葉は分からないところが多いですが、少しストーリーが見えてきて、面白くなってきました。

英語が分からないとコンプレックスを感じてしまいますが、アメリカの中ですら英語はいろいろ、分かるのが当たり前ではないのですね。

もう遅いですが、5話目を見ようかな。

2012年5月6日日曜日

初Footy(オーストラリアン・フットボール)観戦!

昨日初めてオーストラリアン・フットボール(FootyとかAussie Rulesなどと呼ばれています)の観戦に行ってきました。うちから自転車で行けるバンドのメンバーの家に集合して夕食。そこからCoopers Stadiumまで歩いて行き、サウス・オーストラリア州のリーグ(SANFL)の試合を見てきました。トップリーグのAFL(Australian Football League)の試合ではありませんが、何しろ初めてなので、興味津々で十分面白い。

いろいろな人から断片的にルールを聞いていたり、同居人がテレビやYoutubeで見ているのを少し見たりしていましたが、じっくり見るのは初めて。夏にはクリケットのとても複雑なルールを勉強しましたが、冬の代表的スポーツFootyのルールはとてもシンプルで、少し説明してもらいながら見たら、すぐに楽しめるようになりました。結果はホームチームNorwoodの圧勝。

ラグビーと同じような形のボールを使い、クリケットと同じ楕円形のグラウンドでプレイします。実際にすぐ近くで見てみると、とても広いグラウンド。サッカーより動き回る範囲は広いと思われます。そのためかどうか分かりませんが、プレイしている人数が1チーム18人。知っているスポーツの中で最大です。これよりチーム人数の多い球技ってあるんでしょうか?

詳しいことはまだ把握していませんが、知っておくと一応ゲームが楽しめる最低知識を書いておきます。

(1)ボールはラグビーやアメリカンフットボールと似ていますが、選手の動きを見ているとサッカーやバスケットボールに近い感じ。つまりパスを回してボールをゴールに入れるのが目的で、ぶつかり合いはボールを取り合うときだけ。
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(2)得点は、上の写真の真ん中の2つの高いポールの間に蹴り入れれば6点。蹴り入れた場所が外側のポールの間だったり、ボールを持って駆け込んだ場合は1点。

(3)ボールは投げるのではなく、片手で支えて反対の手のげんこつではじいて飛ばす。

(4)ボールを持ったまま走れるのは15mだけ。

(5)キックしたボールを15m以上離れたところで直接キャッチ(Mark)したら、その時点でフリーにキックできる(つまり相手が直接奪うことはできない)。(このタイミングで拍手が起こる)

(6)1クォーター3020分【6月13日訂正。30分くらいやっていたのですが、20分プラスstopping time (ロスタイム)で、結果としてそのくらいになっていたようです。】を4クォーター 1クォーターごとにサイドが入れ替わる
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クリケットと比べてどちらかというと大衆スポーツ(?)と聞いていたので、もう少し激しい雰囲気かと思ったら、ホームチームと相手チームのサポーターが混ざって応援していたり、友達同士がばったりあったり、何ともアットホームなムード。もっとも、この地域が特にそうだということらしいですが・・。 上の写真はクォーターの間、選手もオーバルにいるというのにちびっ子含む観客がオーバルに入って、持ってきたボールで遊んだりしています。

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こちらは、今日シティに行く途中のオーバルでたまたまやっていた、草footyの試合。これ
を見てるあいだに、ちょっとネットで調べて驚いたのは、日本にもAFL傘下のリーグがあると言うこと(日本オーストラリアンフットボール協会) 。こちらの協会のサイトにルールの説明もあります。

クリケットの協会もあるし、マスコミに登場しないだけで、日本ではいろいろな国のスポーツがプレイされているんですねえ。






2012年5月2日水曜日

肉じゃがはやっぱり薄切り肉!

アデレードに来てから、何回か肉じゃがを作ったのですが、たいていスーパーで手軽に手に入る一番小さめの切り方、stir fry用の肉を使っていました。しかし、やはり中まで味が染みづらく、こちらの赤身肉では鉄っぽい味がして、納得の味にはならない。

この前、友人宅にお邪魔して肉じゃがを作ったとき、せっかくなので日本製品の店Little Tokyoで薄切り肉を買って持って行きました。すると、やっぱり味が染みて本当の肉じゃがの味。その友人も気に入って両親に作ってあげたいから、とレシピをほしがったほど。最近ちょっと英語のレシピも見慣れてきたので、英語でメールに書いて送りました。

ちなみに、このとき友人の奥さんは別の友人宅で、友人が子守の番。友人が寝かしつけをしている間に僕が夕食を作っているという、不思議な状況でした。

ということで、今日は家にこもって夕方まで原稿書きをしたあと、少し足を伸ばして、何度か登場している韓国食材のHappy Martで薄切り肉を購入。夕食に肉じゃがを作りました。やっぱり肉じゃがは薄切り肉ですねえ。「フランス料理」やらパスタやらが続いていたので、数日ぶりに白いご飯に和食でほっこり。

 下の写真、ホントはもっと水分を飛ばさないとかったのですが、おなかがすいて我慢できず、今日のところはこの状態。そのまま煮込んだので、明日はちゃんとした肉じゃがになるはず。


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そして、同居人の自家製ビール完成の日、ということで、何杯か味見がてらごちそうになりました。若干味が薄めのボトルもありましたが、ほぼ売っているCoopersのビールと味は変わらず、初期投資を除けば、半分以下の値段らしいです。

2012年5月1日火曜日

Unfolding tikit 連続写真!(ついでにメンテナンスtips)

1ヶ月前のAustralian Bike Friday Clubの集まりでご一緒したBike Friday乗りの大先輩Mitsuo Tadokoroさんが、tikit組み立て(unfold)中の僕の連続写真を作ってくださいました。(写真をクリックすると少し大きくなります)

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自分のこんな映像なかなか撮ることがないので、とてもありがたいです!tikitの折り畳み機構の様子を伝える写真としても、とても貴重かも。 なお、折り畳む方も、これとそれほど変わらない時間でできます。
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こうして開いた後に固定するロックの仕組みついて、少し補足しておきます。

固定するのにねじを使わないこのタイプはHyperfoldと呼ばれ、シートポスト+マストをたてることで、フレームに沿って走っているワイヤーが引っ張られ、Handle bar stem(ハンドルの軸)のちょうつがいの反対側にあるロックが固定されます。上の写真の銀色の金具がそのロックですが、懐かしいパックマンに形が似ているのでpack-man crampと言われているようです。

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また、上の写真のように、シートをたてると、シートマストの付け根にある出っ張りがフレームから突き出た部品のくぼみにはまり、固定されます。シートを前向けに倒さない限り外れることはないので、走っている状態はワイヤーはピンと張った状態でハンドルが倒れたりする心配はありません。

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乗り始めて一月ほど経った頃、ハンドルの軸がきしむ音がして、いろいろねじを閉めたりしても直らず、tikit wikiで調べたりして分かった原因が、このワイヤーの伸びでした。新車の頃はあちこちのワイヤーやチェーンが伸びますが、上に書いたワイヤーが伸びてハンドルバーを固定するロック(pack-mac cramp)が少し緩んだために、ハンドルの軸がきしんでいたという訳です。上の写真の真ん中に見えるワイヤーの端のボルトを回すことでワイヤーの張りを調節したところ、めでたく、きしむ音はなくなりました。正しいテンションは、開いたときに少しシートが押し戻される感じがあるくらいの強さだそうです。(下の公式動画参照)


ほかに、hyperfold方式のtikitメンテナンスで見落としがちなのは、pack-man cramp周辺の潤滑です。ここを通り抜けるワイヤーの動きがスムーズでなくなると、折り畳んだり広げたりするときに、うまくロックが外れなかったり、はまらなかったりします。この穴にlubricant(潤滑油)を差すことで、またスムーズに動くようになります。

 ところで、上の連続写真の作成者Mitsuoさんを含む先日の集まりの写真、下の地元新聞記事に紹介されています。