2012年5月19日土曜日

日本の歌で里心 ミスチルGIFTの味わい(押韻)

アデレードは日本の食を含め、いろいろな国の食べ物が手に入るのでので、あまり食べ物のことで日本に里心というか郷愁を感じることはありませんが、なぜか日本語の歌が心に染みることがよくあります。 

長年バンドでギターやボーカルをやってきましたが、そちらでは、ハードロック、ファンクっぽいロック、フュージョン、プログレなどが中心。それぞれかっこいいと思っているのですが、一つの曲をすごく好きになって、繰り返し聞いたりするのは日本のポップスの場合が多いです。

小学校の頃からテレビっ子で、特に小学校時代の「歌謡曲」や「アニメソング」、その後の「ニューミュージック」などが自分の音楽好きのルーツだからかもしれません。

日本語の歌といっても、僕は歌詞から入るタイプではなく、メロディーやコーラス、バックのアレンジなどの和音の響きがまず耳に入ってくる。なので、歌詞については、聞いてるだけで頭に入ってくることはほとんどなく、文字で見て初めて分かることが多いくらいです。聞くだけだと歌詞を聞こうと思っても、いつの間にかハーモニーとか楽器の音とかに神経が行ってしまうのです(笑)。ですから、日本語のポップスで里心といっても、歌詞の中身に反応しているというよりは、メロディーや和音のきれいさと耳に慣れた日本語の響きが郷愁を呼ぶという感じなのでしょう。

外国での経験に話を戻すと、5-6年前のアデレード滞在では福耳の「惑星タイマー」にはまりました。元バービーボーイズの杏子、山崎まさよし、スガ シカオのスペシャルユニットとしてスタートした福耳ですが、この曲はスキマスイッチが作詞・作曲して、もちろん歌でもメインに近い位置づけで参加、他に、元ちとせなども入っています。これだけの実力派揃いでですので、この曲もきれいなコーラスに感動して、自分で多重録音したりしていました。ええ、オタクです(笑)。

そして、今回の滞在では、少し前に、浜田麻里。懐かしい名前かもしれませんが、驚くことに最近さらにパワーアップして、さらに声に深みというか丸みが出て、とてもいい。本当にすごいです。関心のある方は、2009年以降くらいのライブ映像とアルバムの情報を検索してみてください。

さらに、ここ一週間くらい(セミナー発表や英語での原稿修正締め切りがあったというのに・・)、はまってしまったのが、ミスチル(Mr. Children)のGIFTという曲。

たまたま身近な人のブログで紹介されていて、聞いてみたのですが、すっかりはまってしまい、毎晩数回は聞き続け。ギターのコピーまでしてしまったという・・・。

ミスチルは院生時代くらいによく聞いていて、Innocent WorldやTomorrow Never Knowsはカラオケでもさんざん歌ったものですが(笑)、最近は奥さんが買ってきたり借りてきたりしたときに聞く程度でした。だから、数年前に発売されたこのGiftも、一部は聞いた記憶があったものの、通して聞いたのは初めてではないかというくらい。

Giftの歌詞のリズム(押韻)分析


メロディー、コーラス、コード進行、ギターとピアノのアレンジ、シンプルでパワフルなドラム、すべてがツボにはまったのですが、今回、歌詞についても聞き込んで発見したことを書いてみます。歌詞の内容ももちろんいいのですが、その歌詞を印象的に響かせるテクニックが桜井さんならではと、うなってしまいました。ミスチルの曲は常にそうですが、聞き流して覚えたつもりになってていたも、歌ったらぜったい歌詞がはまりません。

英語の歌のように、一つの音符に複数のひらがながはまってるというのがその難しさの理由ですが、これについては、昔の歌謡曲のように一つの音符にひとつの入っていることのほうが、かえって話し言葉の響きからかけ離れているんだよな、と常々考えていました。逆に、日本語が崩れているように聞こえるサザンとか佐野元春とかミスチルのはめ方の方が、言葉を大切にしているのではと思っていたくらいでした。

しかし中でもミスチルの歌詞のはめ方は、パターンが読めず、きわめて難しい。Giftもきわめて不規則。

でも、繰り返し聞いていたら、このはめかたが、明らかに必然的なリズムを作っているということに気づいてきました。

ミスチルの曲の歌詞が英語と日本語を混ぜて韻を踏んでいるというのは、よく知られた話で、GIFTについても、GIFTという言葉と韻を踏んでいる箇所については、いろいろな人がブログに書いているのを発見しました。

でも、それ以外の場所での韻の踏み方も見事。同じ響きの繰り返しで、強く印象づけられます。 そのために、母音を変えているところもあるような気がします。

そこで、分析してみました。

1コーラス分のメロディーは3つの部分に分かれるので、順にAメロ、Bメロ、Cメロとしています。「あーえ」などと書いてあるのは、「あ」の母音で伸ばして「え」で終わるという形で韻を踏んでいるとうい意味です。

「  」でくくった部分が韻を踏んでいる場所で、縦をそろえて表記しています。( )は音符の間に来て音がほとんど省略されるいる部分です。

どこかで音源を探して、ご確認ください(笑)。

Aメロ 「gift」


君がくれた GIFT, 
わたす(と)き、ふと
  むねに 聞くと

Bメロ(1番と2番で韻の踏み方が違います)


1番「あーえ」

    渡し 「た(く)て」
ぐしゃぐしゃに「なって」
    変わり「はーて」

2番「おーお」

荷    「も(つ)も」
君の分まで「も(つ)よ」
(そばにい「てよ」 ※ここは「よ」だけ)

Cメロ(サビ) 「あーえ」


1番

突きつけ「らーれ」
壁の  「ま(え)で」
そのあい「だ ー  に」(「あーい」だけど、近い)
広   「が って(る)」
色さ  「が(し)て」

2番

者とは  「だーれ」
僕じゃなく「たって」
ひざしが 「あって」
ひかげも 「あって」
意味を  「もって」(「まって」のように発音している)


ついでに、Bメロの一番高い音(シ♭)の部分。


1番は「グジャグジャになって」の1個目の「ジャ」で、2番は「君の分まで」の「ぶ」ですが、「ぶ」を「ば」に近く発音しているので、同じような響きに聞こえます。たまたま高い音だから口が開いて「あ」の母音に近づいているのかもしれませんが。サビの「持って(「まって」のように発音)」のこともあるので、意図的かもしれませんね。

もう一カ所、同じ響きの繰り返しの気持ちのいいところ。


ふーりーそ-そ-(ぐ) ひざしがあって
 だからこ-そー ひかげもあって

 以上、GIFTの押韻分析、いかがでしたでしょうか。きっと他の部分にも隠れているでしょうね。

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