2011年11月10日木曜日

論文書きの環境

日本から持ち込んでしまった論文(というか本の一章)をいったん書き終え、編者に送付。まだちょっと削らないといけない可能性もありますが、ともかく一区切り。こちらでの研究計画にとりかかれます。インタビューなどを含む研究の場合は、Visiting Researcherであっても、大学の倫理委員会で研究計画を承認してもらわないといけないのです。

さて、ここのところずっと向き合っていたものなので、少しマニアックな話題ですが、論文書きのソフトウェア環境について説明したいと思います。

今回の論文執筆に使った主なアプリケーションは次の通り。統計的な処理や本格的なインタビューの処理は含んでいないので、その関連のアプリケーションは使っていません。

Scrivener 2、Endnote X4、Apple Numbers、Apple Pages, Microsoft Excel, Microsft Wordです。

今回Wordを使ったのは最後の2日くらいです。主に提出用の加工用途。

【Scrivener 2】
Scrivenerについては以前詳しく書いたことがありますが、アイデアのメモから草稿書きまでほとんどこの中で進めました。

下の図の一番左には、関連する図表やPDF、ウェブサイトのアーカイブなどの資料、アイデアを書いた小さなファイルと、原稿の各節や項など内容ごとのまとまりのファイルがずらりと階層化されて並んでいます。各ファイルにはタイトルを付けることができ、必要に応じて二つのファイルをひとまとめにしたり分割したりしたりできます。
また文書や資料を縦や横にならべて、図表を見ながら説明を書いたり、関連する別の項目を見ながら(場合によってはコピペを使いながら)執筆したりできます。



Scrivenerの一番いいところは、アイデアが出そろってきたところで、目の前にある草稿の中から使わないところを選択してAnnotation(注釈)として印をつけたり、最終的に使うファイルと使わないファイルをチェックマークで区別していくことで、後から使うかもしれないものを削除せずに、分量や内容を調整できることです。本文に使うものが確定したら、Compileという作業をして、必要な形式で書き出せます。そのまま配布するのであればTeX形式が美しいですが、今回の場合のように、他の人に提出するような場合は、リッチテキスト(RTF)で書き出します。それを最終的にワードで開いて必要な調整をします。Scrivenerのすごさはまだまだあって、まだ使い切れていない部分もあるのですが、とても読んでもらえそうにないのでこの辺で。



【Endnote】
次にEndnoteですが。自分自身の作業とゼミ生のアルバイトのおかげで、自分の持っているほとんどの文献がEndnoteのデータベースに入っています。論文に使う文献を選択して文中にコピペすると、(中里, 2011, 通し番号}というようなインデックスが貼り付けられます。原稿を書くときはこれをするだけ。最後にリッチテキストまたはワードのファイルになった段階で、ある処理をすると、本文中に使われている文献のリストが必要な形式で文末に作成され、本文中のインデックスも(中里 2011)など、必要な形式に変更されます。必要な形式の指定をする必要がありますが、主な英文学術雑誌などについては、それぞれに合わせたスタイルファイルが用意されています。社会学評論もどなたが作ってくださったのか、サポートサイトから入手することができます。若干加工が必要ですが・・。

【Numbers】
さて、今まであまり使っていなかったのですがApple Numbersも今回活躍しました。数式処理やグラフ作成などはやはり慣れもあってExcelのほうが使い勝手がいい気がしますが、Excelにはないある仕様のために今回はNumbersを使いました。


エクセルは複数の表を一つのシートに入れようとすると、上の表と下の表で同じ列を使います。なので、上の表で列の幅を広げると、下の表でも同じ列の幅が広がってしまいます。上の表と下の表の列の幅を変えようとするとセルの結合をしたりしてややこしくなってきます。
これに対して、Numbersのシートの概念はワードにエクセルの表を張り込んだような感じです。上の画像の左端のコラムに白い□と黄色い□がありますが、白がシート、黄色が表です。画面右側は一つのシートの様子で、三つの表が縦に配置されていますが、それぞれの表は別個のスプレッドシートになっているので、別個に列幅を調節できますし、表の間はただの白いキャンバスのようなものなので、自由に表の配置を動かせます。
今回は、関連する複数の表を並べながら平行して作業をしたかったので、Numbersのこの仕様はとても便利でした。
そして、最後にExcelへの書き出し機能を使うと、この表それぞれがExcelの別のシートとなって一つのファイルに保存されますので、提出するときも便利です。

【Pages】
これはApple版のワープロ&レイアウトソフトですが、ある概念図を書くのに使いました。Keynoteもそうですが、Appleのソフトは図形をレイアウトするときにとても便利な機能がついています。ある図形を配置しようとして移動させていると、上の図形と中央がそろったところで、紫の縦線が現れ、吸い付くような動きをします。これは例えば端と端が縦に並んだときにも起こります。なので、いろいろな場面で図表の配列をキレイにする方向にうまく導いてくれるので、微妙に縦横そろっていないということが避けられます。微調整に時間をとられることなく、次の作業に移れます。

まあ、論文は中身が肝心なので、テキストエディタ一本でも書ける人は書けるし、その方が書くことに集中できる可能性もありますが、せっかくだから楽しみながら書きたい。Scrivenerを一言であらわすと、原稿書きをする人が「こんな機能があったらいいのにな」と思うことがだいたいそろっているソフトというのが、僕の評価です。Appleのソフトは若干機能が足りないところもありますが、簡単にキレイに仕上げられる点で優れています。

最後にMicrosoftも持ち上げておきましょう。今回Microsoft Word 2011 for Macで図表の配置をしましたが、以前のWordと比べると比較的思ったところに図表が素直に配置できるようになった気がします。

長文失礼しました(最後まで読んでくれた人はいないかも・・)

0 件のコメント:

コメントを投稿