2011年11月22日火曜日

Work-life Integration

 Work-Life Integrationというこのサイトのタイトルについて、ほとんど説明を書いていませんでした。直訳すると「仕事と生活の統合」。僕自身は、しばらく前からこの言葉を使っていて、最近仕上げた原稿でも少し詳しく書きました。

 ワーク・ライフ・バランスという言葉の次のようなデメリットを避けるためにイギリスやアメリカの一部の研究者によって使われ始めた言葉ですが、特に日本ではあまり広まってはいません。ワーク・ライフ・バランスというと、ワークがライフと別にあるように感じてしまうこと。相いれない二つの領域のやりくりをイメージしてしまうこと。お互いにプラスに働く可能性が見落とされてしまうことなどが、問題としてあげられている点です。

 仕事と家庭など、生活の分野を切り分けたほうが、それぞれに集中できるというメリットはもちろんあります。でも、その間の線というのは、そんなにはっきりしているのだろうか。そう簡単に切り離せないから、みんなが苦労しているんじゃないか。こんな思いが、僕がこの言葉へのこだわりの背景にあります。

 もう一つは、仕事と生活という二つでは分けられない、いろいろな活動が身の回りにあって、よくも悪くも相互にかかわり合っている、という、ある意味当たり前のことの大切さを感じることもあります。

 学生時代に、ジンメルという社会学者が使った「社会圏の交錯」という概念にとても魅かれました。簡単に言ってしまうと、個性というのが、個人が集団から離れることではなく、複数の集団に所属することから起こってくる、というような内容です(手元に本がないので、厳密には違うかもしれませんが・・・)。プラス面だけを描いたわけではないと思いますが、個性と集団は逆のものだと素朴に考えていたころだったので、とても印象に残ったのだと思います。

 少し面倒だと思っても、いろいろな活動に関わっているうちに、その活動で身につけたことが、他の活動に生きていることに気づくことがあります。身体は一つしかないので限界はありますし、何かがあまりにおろそかになって周りに迷惑をかけてはまずいですが、直接ある領域に役に立ちそうにないことでも、並行して続けていくと、全体が「統合」されていることを感じられる瞬間があるような気がします。

 というわけで、「仕事と生活」といいつつ、仕事の話が出てこないこのサイトについての長い言い訳を終わります。


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桜より、かなり長いジャカランダの季節

2 件のコメント:

  1. 拍手を送ります。
    ライフの中に すべては含まれる。
    from Lifeorganizer

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  2. Lifeorganizerさん、このブログへの記念すべき初コメントありがとうございます(笑)。某ブログでみた財布のスペースを家計と「プライベート」に分けるという捉え方にも、なるほどと思わされました。家庭も、立場次第では、必ずしも「プライベート」だけではないよな、と。

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